重いピアノ・軽いピアノ・重い鍵盤・軽い鍵盤
はじめの一歩を応援する音楽サービス専門店 平瀬楽器のヒラセトモキです。
おはようございます!
ピアノをやっている方であれば一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。「鍵盤が重い・軽い」「このピアノは重い・軽い」
重さは変わりません
一応専門家としてお話をさせていただくと、実はピアノの鍵盤を押すときの力というのは、機種やメーカーによってほとんど変わりはないんです。
この話をすると大抵の方は驚かれます。そしてこのようなことをおっしゃられます。
「だってアップライトピアノよりグランドピアノの方が重いし!」
「大きなグランドピアノの方が重いし!」
はい、たしかに楽器の大きさで比較すると大きな楽器の鍵盤は重いです。
でもこれは単純に鍵盤の長さが長いからなんです。
アップライトピアノよりもコンサートホールなどで置かれている大きなグランドピアノのほうがサイズも大きく、鍵盤も長いです。
なので、鍵盤を押さえたときに感じるのは鍵盤が重いというよりは鍵盤の長さを感じているというのが正しい言い方なのかもしれません。
一体何なのか
では鍵盤の重さ、ピアノの重さ、というのはなんなのでしょうか。
実はこの重さは物理的なものではなく、感覚的なものに左右されているんです。
結論から言いますと、これくらいの音量が出るであろうという意識で弾いたときの意識と実際の音量との差が重い/軽いにつながっているんです。
もっと簡単に言いますと、10の力で弾いていて12の音量が出ればこのピアノは軽い、となります。逆に10の力で弾いていて7しか音量が出ないのであれば、このピアノは重いとなるわけです。
もちろん湿気や経年変化の影響で鍵盤の摩擦に変化が生じて物理的に軽くなったり重くなったりすることはあります。しかし、それって実は殆ど関係ないレベルなんですよね。
椅子の高さで変わる
コンサート直前の調律を行う際に、調律師がピアノの椅子を少し高くしておくことがあります。
これは一体どういうことかと言いますと、単純にピアノの椅子が少し高くなれば身体全体が少し高くなります。そして腕もいつもより少し高い位置になります。
いつもより少し高い位置から腕を鍵盤に下ろすことで、結果として音量が出る、という仕組みです。
結局人間は感覚で生きる動物ですので、こういうちょっとした感覚に支配されがちです。こればかりに左右されるのは有能とはいえませんが、うまく活用することで日々の練習にもきっと有効かと思います。
たとえば大切なコンクールが目前に迫った4〜5日前、こっそりアップライトピアノの上の蓋を少し開けてあげると、いつもはピアノの中でこもっていた音が外に解放され、いつもより音が鳴っている感じがします。先程の椅子の高さと同じですよね。
重いピアノ・軽いピアノ、というと、軽いピアノが良いピアノで、重いピアノが悪いピアノ、と言われがちなのですが、実際はそうではありません。
重い・軽いという一面だけでなく、一体それはどこから来ている感覚なんだろう?っていうことを一緒に考えてもらえればきっとピアノももっと楽しくなると思いますよ。
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