グランドピアノの修理をして感じたこと。共用楽器との関わり方

   

はじめの一歩を応援する音楽サービス専門店 平瀬楽器のヒラセトモキです。
おはようございます!

 

先日ブログに書きましたこの事件の顛末です。

 

パーツが届く

 

あれから約2週間が経ち、ようやくメーカーから部品が届きました。

通常でしたらピアノのパーツは3~4日もあれば十分届くのですが、今回は手配をかけてから入荷するまでとても時間がかかりました。やっぱりこんな箇所ですので、壊れる頻度自体が少ないんでしょうね。

このピアノはカワイのグランドピアノです。

私共はいわゆる「ヤマハの特約店」ですので、カワイのピアノのパーツを入荷する方法は、普通だったらないんです。

しかし、これまでいろんな方と長く仕事をさせていただいている関係で、ヤマハの特約店でありながらカワイの部品も割と普通に手に入ったりします。これはこれでとてもありがたいんですよね。

 

ピアノの部品というのは世界共通です。仮に何らかの理由でヤマハからパーツが手に入らなかったとしても、どこか他のメーカーのパーツを入手すれば修理を行うことができます。

これが生の楽器、しかも歴史のある楽器であるピアノの強みなんです

しかし今回のようなパターンは完全にイレギュラーです。

おそらく他のメーカーのパーツを取り寄せてみてもきちんと収まらないと思いますので、ちゃんと純正のパーツを取り寄せました。

 

ホールに向かう

 

届いたパーツを持ってホールに向かい、作業開始。

修理の際は事前のシミュレーションが大きく役に立ちます。今回もまさにそれで、作業手順を事前に頭の中で想定していたので、初めての経験ではありましたが実際の作業としてはほんの10分程度で終えることができました。

終わってからきちんと動作確認をして修理完了です。

 

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疑問

 

しかし後からいくら考えてみても、どうやったらああいった壊れ方をするのかが合点がいきません。

壊れれば直せば良いのではありますし、直せば仕事になるのではありますが、壊さないように大切に使っていただきたいなぁと思うほうが大きいんですよね。

犯人探しをする気はありませんが、ああいう壊れ方をするということはルールに沿ってない使い方をする方がいるということなんだと思います。

ホールのピアノは共有の場所に置いてあるみんなの楽器です。大太鼓や小太鼓のように叩けば叩くほど壊れてしまうといった打楽器ではなく、普通に使っていただくと20年でも30年でも長く使ってもらえる楽器のはずなんです。

しかしそんな長持ちするような楽器でも壊そうと思うと一瞬で壊れてしまいます。今回のがいい例ですよね。

 

自分の楽器ではありませんが、共有の楽器は自分の楽器と同じように大切に使っていただくのがルールです。これはホールの楽器というわけではなく、レッスン室の楽器や音楽室の楽器も同じです。

今回のような悲しい使い方をされたピアノを見るのは出来る限り避けたいです。

練習しすぎて調子が悪くなったくらいの壊れ方ならがんばって直すぞーって思えるんですけどね。

 

みなさんはご家庭以外での楽器の触り方、どのようにされていますか?適当にジャカジャカ触っているような方は少ないとは思いますが、ご自身の行為を少し見つめ直していただくいい機会かもしれませんね。

 

 

 

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1973年兵庫県三田市生まれ。 三田市と神戸市北区で音楽教室と楽器販売を行う平瀬楽器の経営者。ピアノ調律師として一般のご家庭や施設・ホールなどをまわりつつ、店頭ではピアニカやエレキギター、カスタネット、大太鼓など、いろんな楽器の修理もやっちゃう楽器の専門家。 その他にコンサートや落語などのイベント企画、台本作成・進行などのディレクション業務、音響業務・コンサートの配信業務なども得意科目。 企画段階から本番の進行まで、イベント全体をまるっとマネジメントできるのが強み。イベント開催時の参謀役として置いておくときっとお役に立てるナイスガイです。 2013年からYouTube、2021年からはtiktokもスタート。2021年配信専門部門「HG動画配信サービス」を立ち上げる。2022年7月には兵庫県で初となる「音楽特化型放課後等デイサービス・さんかく」を開所した。

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