音程は合ってる。でも、なんか違う

音は鳴っているのに、引っかかる感覚
先日、初めて伺ったお客様のピアノを調律しました。
音はきちんと鳴っているし、音程も問題ない。
それなのに、弾いてみるとどこか引っかかる感じが残る。
「合っているはずなのに、なんだかしっくりこない」
そんな違和感を覚えました。
「音程が合っている」と「気持ちよく弾ける」は別
一般的に「音程が合っている」というのは、
チューナーの数値が基準通りである、という意味です。
もちろん調律師は耳でも確認しますし、
その点では問題のない状態でした。
ただ、音程が合っていることと、気持ちよく弾けることは、
必ずしも同じではありません。
倍音やノイズが生む小さな違和感
ピアノの音には、基音だけでなく倍音が含まれています。
その倍音が濁っていたり、
鍵盤を押した瞬間にわずかな雑音が混じったりすると、
音程が合っていても耳は違和感を拾ってしまいます。
こうした感覚は、数字だけでは説明しきれない部分です。
車で言うと「乗り心地が悪い」状態
これを車にたとえるなら、
ちゃんと走るし目的地にも着くけれど、
どこか乗り心地が悪い車のようなもの。
ずっとハンドルに力が入っていたり、
長時間運転すると疲れてしまったりする。
ピアノにも、そんな「乗り心地」の差があります。
ハンマーの摩耗が原因になることも
今回のピアノの場合、
おそらく原因はハンマーにあると考えています。
ハンマーは弦を打つフェルト製の部品で、
長年弾き続けると少しずつ削れて溝ができます。
その溝に弦が当たることで、かすかなノイズが生じ、
音にシャリっとした違和感が混じることがあります。
調律はされていても、こうした部分の手入れが
長く行われていないと起こりやすい状態です。
違和感は、案外正直なサイン
こうした状態は、
「弾けないわけじゃない」
「音程も合っている」
からこそ見過ごされがちです。
でも、耳や指が感じる感覚は案外正直で、
そこにはきちんと理由があることが多い。
特にお子さんは、「なんか変」「気持ち悪い」と
素直に反応されることがよくあります。
気のせいかも、で終わらせない
もしピアノを弾いていて、
「最近ちょっと弾きにくい」
「音は合っているけど気になる」
そんな感覚があれば、それは気のせいではないかもしれません。
遠慮せず、その違和感を調律師に伝えてみてください。
言葉にならなくても大丈夫です。
その感覚こそが、ピアノの“乗り心地”を見直す
ヒントになることがあります。
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