調律師に絶対音感は必要?相対音感との違いとピアノ調律の真実

調律師に絶対音感は必要?音感のホントの話
音楽を学んでいる方やピアノを習っている方なら、
一度は「絶対音感」という言葉を耳にしたことが
あるのではないでしょうか。
特に調律師に対して「絶対音感を持っているんですか?」と
聞かれるのは定番のやりとりです。
でも実は、調律師にとって絶対音感は必須ではなく、
むしろ相対音感が大切なのです。
絶対音感とは?
絶対音感とは、基準の音がなくても「ド」や「ソ」と
音名を即座に認識できる能力のことです。
小さい頃からの訓練で身につく場合もありますが、
持って生まれた要素が大きいといわれています。
この能力があると、テレビCMのメロディーを
そのままピアノで弾けるなど便利な面がありますが、
大人になってから習得するのは難しいとされています。
調律師に必要なのは相対音感
一方、調律師が日々使っているのは相対音感です。
相対音感とは、ある基準の音に対して「高い」「低い」と
比較して判断できる力。
ピアノの調律では隣り合う音や弦同士を比べながら、
響きのズレや「うなり」を消していきます。
特に「ユニゾン(同じ音程を完全に合わせること)」を
繰り返し確認する作業は、調律の基礎そのもの。
比べる耳を徹底的に鍛えることが仕事の核心なのです。
絶対音感が邪魔になることも?
意外に思われるかもしれませんが、
絶対音感を持つ人にとっては調律がかえって難しく
感じられることもあります。
ピッチが少しでもズレると気持ち悪く感じてしまったり、
日常の生活音がすべて音名に聞こえてしまったりするためです。
さらにピアノは「平均律」という仕組みで調律されるため、
厳密には純粋な和音にはなりません。
絶対音感が強い人にとっては、その“不完全さ”が
気になるケースもあるのです。
音感を鍛える楽しみ方
大切なのは、絶対音感の有無ではなく、耳を使って比べる習慣です。
例えば子どもと一緒に「どっちの音が高いかな?」と遊んでみたり、
和音の中で音を変えて響きの違いを感じてみたりするだけでも、
耳や相対音感は育ちます。
こうした小さなトレーニングを続けることで、
音楽はぐっと楽しく、深く味わえるようになります。
—
音感は特別な才能だけで決まるものではありません。
毎日の生活の中で耳を意識することで、
誰でも音楽をより豊かに楽しめるようになるのです。
最新記事 by ヒラセトモキ (全て見る)
- ブルグミュラーコンクール(10/13 北神地区)の時間割を公開します - 2025年10月1日
- 調律師に絶対音感は必要?相対音感との違いとピアノ調律の真実 - 2025年9月29日
- ご自宅にぴったりの一台に出会うまで|中古ピアノ探しのエピソード - 2025年9月26日