ピアノの鍵盤って何本?ピアノの歴史と鍵盤の話

   

はじめの一歩を応援する音楽サービス専門店 平瀬楽器のヒラセトモキです。
おはようございます!

 

さて問題です。

ピアノの鍵盤はいくつあるかご存知でしょうか?

 

決まっています。

 

現代の一般的なピアノの鍵盤数は88本です。

アップライトピアノでもグランドピアノでも88本。なんなら電子ピアノも88本。

黒鍵36本、白鍵52本の合計88鍵盤と決まっています。

1番低い音はラの音で、1番上の高い音はドと決まっています。

 

白鍵の数がもっと多くて、黒鍵がもっと少ない、なんてバランスのピアノは存在しませんし、1番低い音がシのフラットで、一番高い音がファのシャープなんてピアノも存在しません。

 

歴史の話

 

なぜ鍵盤の数や音の位置までが決まったかとといいますと、古くはピアノが作られた時までさかのぼります。

 

1700年代初めにピアノの元となる楽器ができました。

バルトロメオ・クリストフォリという人が作った「クラビ・チェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」という楽器です。

当時の鍵盤数は60本弱だったと言われています。

 

このピアノの元祖のモデルを当時の作曲家が競うように使い、いろいろな曲を作っていきました。

曲を作っていく過程で、もっと音の幅が欲しいというニーズが生まれ、各地のピアノ製作者が鍵盤数を増やしていきました。60本、71本、80本、そして88本に到達します。

 

特例もあります。

 

現代の一般的なピアノの鍵盤数は88本と冒頭にも書きましたが、実はもっとたくさんの鍵盤数のピアノもあります。90本や97本の鍵盤を持つピアノが存在するんです。

しかしそれはあまり一般的ではなく、独自の設計思想で作られた独特の楽器なんです。

 

世界で1番鍵盤の数が多いといわれているドイツはベーゼンドルファー社のインペリアルというモデルがあります。

このインペリアルの鍵盤数は97本。低い方に9本の鍵盤がプラスされています。

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しかし、この追加した音たちは音程が低すぎて音程の違いがあまり判別できないのです。

じゃあなんのために追加したのかといいますと、音ではなく弦が必要だったそうで。

追加された低い音の弦が他の弦と共鳴をし、豊かな響きを作るんです。

他の楽器には出せない豊かな音色がこのベーゼンドルファー・インペリアルの魅力なんですよね。

そのため世界中の主要なホールに置かれていることの多い楽器の1つです。

 

近現代になるとこのインペリアルのための楽曲も作られ、普段は使わない低い音を駆使することもあるそうです。そうなると他の楽器ではそもそも練習ができませんよね。

でも、こうやって鍵盤の数は少しずつ増えていっているんです。もしかしたら今後も増えていく可能性があるかも知れませんね。

 

黒い白鍵。

 

ちなみにインペリアルには97本の鍵盤数がありますので、いつものようにピアノの前に座って弾こうとすると1オクターブ下に座ってしまいがちです。

それを防ぐために、このインペリアルは追加した9本については黒く塗ってあります。

 

 

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とはいえ、97本なんてのは超特殊なパターンです。

一般的には88本の鍵盤が普通なんだなということを覚えておいてもらえればいいんじゃないかなと思います。

 

あ、ちなみにこの97本の鍵盤のピアノは¥22,800,000。

これがほしい!というご相談にはいつでも乗らせていただきますよ(笑)

 

 

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1973年兵庫県三田市生まれ。 三田市と神戸市北区で音楽教室と楽器販売を行う平瀬楽器の経営者。ピアノ調律師として一般のご家庭や施設・ホールなどをまわりつつ、店頭ではピアニカやエレキギター、カスタネット、大太鼓など、いろんな楽器の修理もやっちゃう楽器の専門家。 その他にコンサートや落語などのイベント企画、台本作成・進行などのディレクション業務、音響業務・コンサートの配信業務なども得意科目。 企画段階から本番の進行まで、イベント全体をまるっとマネジメントできるのが強み。イベント開催時の参謀役として置いておくときっとお役に立てるナイスガイです。 2013年からYouTube、2021年からはtiktokもスタート。2021年配信専門部門「HG動画配信サービス」を立ち上げる。2022年7月には兵庫県で初となる「音楽特化型放課後等デイサービス・さんかく」を開所した。

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