楽譜=正解?──実は「選択肢」のひとつかもしれません

   

おはようございます!
平瀬楽器のヒラセトモキです。

音楽を演奏するうえで欠かせない「楽譜」。
けれど、みなさんはこんなふうに思ったことはないでしょうか?

「この楽譜が“正解”なんでしょ?」

実はその考え方、ちょっともったいないかもしれません。
楽譜って、じつは“答え”ではなく、“選択肢”のひとつにすぎないんです。


同じ曲なのに、楽譜がいっぱいある?

店頭に並ぶ楽譜を見ていて「この曲、いくつも楽譜があるな…」と
思ったことはありませんか?

たとえば『バイエル』や『ツェルニー』『ハノン』などの
定番教材でさえ、出版社によって微妙に内容が違います。

  • 指番号(運指)が加えられている版

  • 原典(最も古い形)に近い校訂版

  • やさしくアレンジされた初心者向けの版

どれも同じ「バイエル」なのに、
実際には編者や出版社の解釈が入っているんですね。


原点は“楽譜=設計図”という考え方

楽譜は、あくまで演奏のためのガイド(設計図)に過ぎません。
家を建てるときに設計図が必要なのと同じように、
楽譜は演奏の土台となるもの。

でも、同じ設計図でも建てる人によって家の仕上がりが違うように、
楽譜をどう読み解き、どう演奏するかは人それぞれなんです。


ポピュラー楽譜はもっと自由!

クラシックに比べて、ポピュラーの楽譜はさらにバリエーション豊かです。

たとえばMrs.GREEN APPLEの人気曲が載っている楽譜。

「本人が監修してるんでしょ?」と思いきや、
ほとんどが耳コピ(=採譜)で作られたものなんです。

つまり、出版社のスタッフや編曲者が音源を聴いて、
自分の耳と感覚で楽譜を起こしているわけですね。

  • メロディーの取り方

  • リズムの表現

  • コード進行

これらが版によって微妙に違ってくるのは、
当然といえば当然です。

しかも、そこからさらに編曲(アレンジ)が入ります。

  • ピアノソロ向け

  • ギター弾き語り向け

  • 初心者向けかんたんアレンジ

つまり私たちが手に取っている楽譜は、
「原曲そのまま」ではなく“耳コピ+アレンジ”された、
いわば“誰かの解釈”の集合体
なんです。


だから、楽譜は「選ぶもの」

プロの演奏家ほど、1曲に対して複数の楽譜を見比べます。

  • どの版が弾きやすいか?

  • 自分のイメージに近いか?

  • 編曲者のセンスが合うか?

これってまるで料理人が「どのレシピを使おうか」と
迷っているようなもの。

自分の“演奏の味”に一番近いものを選んで、
そこから演奏を仕上げていく
わけです。


楽譜をもっと「面白がる」視点を持ってほしい

「この楽譜しかないから、これで弾くしかない」
「どれでも同じでしょ?」

そんなふうに考えてしまうと、
楽譜選びの面白さは半減してしまいます。

楽譜って、じつはとっても人間くさい。
背景には、

  • 誰が耳コピしたか

  • どんな目的でアレンジされたか

  • どんな演奏者を想定しているか

といった、制作者の思いや工夫がたくさん詰まっているんです。


まとめ:楽譜は「道しるべ」。正解ではない

あなたが目指す音楽のゴールに、
一番近づけそうな道を指し示してくれるのが楽譜です。

  • 目の前の1冊が“すべて”ではない

  • 複数を見比べることで、より理想に近づける

  • 最終的に音を出すのは、自分自身

「楽譜=正解」ではなく、「楽譜=道しるべ」。

そんなふうに考えていただくと、演奏がもっと自由で豊かになるかもしれません。


🎵 楽譜選びや演奏のご相談は…

平瀬楽器の公式LINEにて、音楽やレッスンに関するご相談を
お受けしています。

「こんな楽譜ある?」といった相談でもOK!
お気軽にお声がけくださいね!

The following two tabs change content below.
1973年兵庫県三田市生まれ。 三田市と神戸市北区で音楽教室と楽器販売を行う平瀬楽器の経営者。ピアノ調律師として一般のご家庭や施設・ホールなどをまわりつつ、店頭ではピアニカやエレキギター、カスタネット、大太鼓など、いろんな楽器の修理もやっちゃう楽器の専門家。 その他にコンサートや落語などのイベント企画、台本作成・進行などのディレクション業務、音響業務・コンサートの配信業務なども得意科目。 企画段階から本番の進行まで、イベント全体をまるっとマネジメントできるのが強み。イベント開催時の参謀役として置いておくときっとお役に立てるナイスガイです。 2013年からYouTube、2021年からはtiktokもスタート。2021年配信専門部門「HG動画配信サービス」を立ち上げる。2022年7月には兵庫県で初となる「音楽特化型放課後等デイサービス・さんかく」を開所した。

 - MORNING NOTE