音じゃなく、動きの不調かも? 〜整調の大切さを知ろう〜

   

おはようございます!平瀬楽器のヒラセトモキです

ピアノの話になると「調律」という言葉は
多くの方がご存じだと思います。

けれど、「整調(せいちょう)」となると、
初めて聞くという方も多いのではないでしょうか。

今日はその「整調」について、
できるだけわかりやすくお話ししてみたいと思います。

調律とは「音程を整える」作業

調律とは、ピアノの音程を正しく合わせる作業のことです。
ピアノにはおよそ230本の弦が張られており、
高音域では1音につき3本の弦が張られています。

調律師はまず1本を基準に音を合わせ、
その後残りの弦も同じ音程に合わせていきます。

気温や湿度の変化、移動の際の揺れなどによって音程がずれるため、
定期的な調律が必要なのです。

日本の四季を考えると、理想は年に4回。
最低でも年に1回はおすすめしています。

整調とは「音を出す動き」を整える作業

一方で「整調」は、音ではなくピアノ内部の
“動き”を整える作業です。
英語では「レギュレーション」とも呼ばれます。

例えばこんな部分を調整します:

  • 鍵盤の深さ

  • 鍵盤が戻るスピード

  • ハンマーの動き出しのタイミング

  • 鍵盤を押してから音が出るまでの流れ

これらの調整がずれていると、
鍵盤が重すぎたり、音が出にくかったり、
連打が効かなかったりという違和感につながります。

目に見えないけど、指先に伝わる「違和感」

整調が乱れているピアノは、
音が出ていても「弾きにくさ」を感じます。

調律されていても「なんだか弾きにくい」という場合、
それは整調のせいかもしれません。

よく「プロじゃないから~」とか「プロになるわけじゃないから~」と
言われますが、整調はプロのためのものではありません。

車の整備と同じで、安全で快適に使うために、
どんな人にも必要な調整なのです。

整調のタイミングと頻度

一般的な調律の中でも簡単な整調は行っていますが、
全体的な整調にはまとまった時間が必要です。

理想としては5年に1回くらい、
調律と同じくらいの時間をかけて
しっかり整調することをおすすめしています。

整調を行うことで、

  • 鍵盤タッチが均一になる

  • 音色のコントロールがしやすくなる

  • 演奏していて気持ちがいい

という状態に近づけることができます。

「電子ピアノとの違い」はここにある

見た目は似ていても、
生のピアノと電子ピアノの違いは“中身”にあります。

電子ピアノはセンサーで音を出すのに対して、
生ピアノは物理的なアクション(機構)で音を出します。

つまり、生ピアノは「木でできていて機械っぽい動きをする」
不思議な楽器なのです。

だからこそ、その動き(整調)を定期的に見直すことが、
とても大切になってきます。

子どもの成長にも影響?

もしお子さんが一生懸命練習しているのに、
なかなか上達しないと感じているとしたら、
それはピアノの整調が原因かもしれません。

整調できていないピアノが、お子さんの成長を邪魔している、
なんてこともあるのです。

最後に

整調は目に見えにくい作業ですが、
ピアノをより良い状態で使い続けるために欠かせません。

調律師さんが「整調もやりませんか?」と提案してきたら、
ぜひ前向きに検討してみてください。

ピアノが“本来の姿”を取り戻す手助けになるはずです。

ご自宅にピアノがある方は、ぜひ一度、
整調のことも気にかけてみてくださいね。

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1973年兵庫県三田市生まれ。 三田市と神戸市北区で音楽教室と楽器販売を行う平瀬楽器の経営者。ピアノ調律師として一般のご家庭や施設・ホールなどをまわりつつ、店頭ではピアニカやエレキギター、カスタネット、大太鼓など、いろんな楽器の修理もやっちゃう楽器の専門家。 その他にコンサートや落語などのイベント企画、台本作成・進行などのディレクション業務、音響業務・コンサートの配信業務なども得意科目。 企画段階から本番の進行まで、イベント全体をまるっとマネジメントできるのが強み。イベント開催時の参謀役として置いておくときっとお役に立てるナイスガイです。 2013年からYouTube、2021年からはtiktokもスタート。2021年配信専門部門「HG動画配信サービス」を立ち上げる。2022年7月には兵庫県で初となる「音楽特化型放課後等デイサービス・さんかく」を開所した。

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